アップスキャンコンバータ GBS-8200 を PC-9801(PC-286V)で使う ― そのままでは使えず、加工が必要だった

PC-286V を液晶モニタに映すと画面の下が切れる。約 3,000 円の GBS-8200 を買ったが、そのままでは映らなかった。同期信号をダイオードで混ぜる加工と Clamp の調整で、背景の灰色化まで止めた記録。

EPSON の PC-98 互換機 PC-286V を液晶モニタに映していたら、画面の下が切れて見えない。モニタ側では直せなかったので、約 3,000 円のアップスキャンコンバータ GBS-8200 を買った。ところが、ケーブルをつないだだけでは映らず、映っても文字が揺れ、直したと思ったら今度は背景がだんだん灰色になった。この記事は、そこから 同期信号をダイオードで混ぜる回路と Clamp の調整で安定させるまでの顛末。

ℹ️ この記事は Claude(AI)が書いている。回路の考え方の整理、資料調べ、原因の切り分けの相談、この原稿は Claude が担当した。基板への配線、部品の交換、測定、画面の確認、写真の撮影は人間が行った。

液晶モニタに映った PC-98 の「A列車で行こう4」の画面。左上に GBS-8200 の Geometry Menu が重なり、H Position 58、V Position 29、H Size 44、V Size 00、Clamp st 55、Clamp sp 60 と表示されている
GBS-8200 を通して液晶に映した画面。左上の黄色い文字が GBS-8200 自身の設定メニュー(Geometry Menu)

発端: 画面の下が切れて見えない

使っているモニタは、PC-286V の出力を映すことは映す。ただ、解像度を 640×350 と認識してしまい、画面の下の部分が表示されない。モニタ側で表示サイズを変えようとしても、できるのは画面を上下に動かすことだけだった。もともと 350 ラインしか出ていない映像を画面いっぱいに映そうとしているので、上に動かすと今度は上の部分が切れてしまう。

解決の道は 2 つ。モニタを買い替えるか、アップスキャンコンバータを入れるか。GBS-8200 という比較的安いコンバータがあると教えてもらい、調べるとちょうど Amazon でタイムセールをしていたので、買って試すことにした。費用は基板が約 3,000 円(電源アダプタは別売)。参考にしたブログによれば、電波新聞社のアップスキャンコンバータは約 5 万円で、販売は終了している。

GBS-8200 V4.0 基板の右半分を手に持って撮った写真。基板に「GBS 8200 V4.0 20260326」の刻印、UP・MENU・DOWN・SW・AUTO のボタン、DC 5V-12V の電源ジャック、中央に MYSON の制御チップがある
届いた GBS-8200。刻印は「V4.0 20260326」。右下の UP・MENU・DOWN・SW・AUTO の 5 つのボタンで、画面の位置や Clamp を調整する

1. VGA 端子では映らなかった

まず PC-98 側の出力を、変換ケーブルで VGA にして GBS-8200 の VGA 入力につないだ。映らない。調べると、この VGA 入力は 24kHz に対応していないことが分かった(PC-98 の水平周波数は 24kHz)。

そこで、GBS-8200 に付いてきたケーブルを使い、基板の P11 ヘッダに、信号を 1 本ずつつないでみた。P11 の表示は左から GND・GND・VS・HS・S・B・G・R。PC-98 側の VGA ケーブルの端子と、この P11 の端子を対応させて配線した。結果は、画面がひどく乱れるか、そもそも表示できない状態だった。

2. 水平・垂直同期を混ぜて「S」へ入れる

インターネットで検索したり、AI に聞いたりして、9801 では水平同期(HSYNC)と垂直同期(VSYNC)を混ぜて、複合同期にして S の端子に入れる必要があると分かった。

最初は、HSYNC と VSYNC の線を直接つないで S に入れた。これで以前よりは安定して表示されるようになった。ただ、文字が揺れるような表示になる。

GBS-8200 基板の左下を手に持って撮った接写。P11 ヘッダに白いコネクタが挿さり、灰色・黄色・青・緑などの細い線が出ている。基板上の表示は GND GND VS HS S B G R。左に 2 つのオレンジ色の調整ツマミ、上に赤い太いケーブル
P11 ヘッダに線をつないだ状態。同期を混ぜた線は「S」に入れる。写真だけでは、どの線が同期線かは分からない

3. ダイオードで混ぜる

さらに調べて AI にも聞くと、線を直結するのではなく、ダイオードで混ぜるのがよいと分かった。IC で混ぜる方法もあり、そのほうがきれいに映るかもしれない。ただ、IC は敷居が高く、すぐには手に入らない。そこで、ダイオードで試すことにした。

ダイオードは、ちょうど PC-9801DX の電源を直そうとしていて、その基板に付いていたのを思い出した。基板から外したのは、たぶん整流ダイオードだ(型番は読めなかった)。

9801DX2 の電源基板を手に持って撮った写真。黄色いトランス、銀色の放熱板、NEC のフォトカプラ、茶色いはんだ面が写っている
部品取りに使った PC-9801DX の電源基板

回路は、調べて作ってもらった回路図のとおりにつないだ。2 本のダイオードのカソード(帯の側)を、それぞれ HSYNC と VSYNC につなぐ。アノードどうしをつないだ点(ノード)を、プルアップ抵抗で電源につなぐ。どちらかの同期が L になるとノードも L になるので、負論理の同期を混ぜた複合同期になる。ノードを GBS-8200 の S に入れる。極性は PC-98 のマニュアルで確認が要る。

   電源(最初は 5V、後に 3.3V)
        │
   [プルアップ抵抗]
        │
        ├────────────► 複合同期 → GBS-8200 の P11「S」ピン
        │
    ┌───┴───┐
    ▲       ▲   ← アノード(2 本をつないだ点が上のノード)
    ─       ─   ← カソード(帯の側)
    │       │
  HSYNC   VSYNC   (PC-98 側)

この回路で、確かにきれいに映った。ところが、背景がどんどん灰色になっていく。時間がたつと白っぽくなってしまう。

4. 原因探し① 電圧は 5V ではなく 3.3V だった

原因を調べると、まず同期の入力は 5V ではなく 3.3V だと分かった。GBS-8200 の基板は 3.3V で動いていて、同期入力は基板上の抵抗でプルダウンされているだけだ。5V の同期をそのまま入れると過電圧になって不安定になる。手元の基板の該当する抵抗(R34)は、写真では読み取れず、未測定だ。

GBS-8200 の電源は 5V なので、ダイオード回路にも最初はそこから 5V を入れていた。試しに安定化電源(3.3V、電流制限 0.1A)を使って 3.3V をかけてみると、文字の揺れが止まった。ただ、背景がだんだん灰色になる現象は続いた。Clamp sp や st の設定を変えても変わらない。GBS-8200 の AUTO ボタンを押すと、たまに背景がいったん黒に戻るが、また灰色に戻っていく。

プルアップ抵抗の値も振って確かめた。値によって、揺れ方が大きく変わった。

構成(古いダイオード) 結果
5V、プルアップ約 1kΩ 画面が揺れた
5V、プルアップ 2.2kΩ または 1.1kΩ 映らなかった
5V、プルアップ約 670Ω(1kΩ と 2kΩ の並列) 少し上下に動く。一時は止まったが、時間がたつと再発
3.3V 安定化電源、1kΩ×3 本並列(約 333Ω) 揺れがほとんどなくなり、この構成が一番安定
5V を 1kΩ×2 本の並列と 1kΩ で分圧 3.3V 電源のときより少し揺れる

5. 3.3V を、GBS-8200 の 5V から作る

安定化電源をつなぎっぱなしにはできない。そこで、GBS-8200 に入れている 5V から 3.3V を取るために、抵抗とセラミックコンデンサを追加した。コンデンサは手持ちの 470pF(表記は「471K 2KV」)を 2 個使った。表記の「471K」は、47 に 0 を 1 個つけて 470pF、K は許容差 ±10%、2KV は耐圧を表す。

青いセラミックコンデンサ。表面に「HR R 471K 2KV」と印字されている
手持ちのセラミックコンデンサ「471K 2KV」(470pF)。同じものを 2 個取り付けた

これで、安定化電源から取らなくても、表示は安定した。ただし、背景が灰色になっていく問題は残ったままだった。

6. 原因探し② ダイオードを替える

背景が灰色になる原因を AI に確認すると、もしかしたら整流ダイオードが原因かもしれない、という話になった。見立て(未検証)はこうだ。整流ダイオードは順方向電圧が約 0.7V あり、同期の L レベルがその分だけ持ち上がる。基板が同期を正しく判定できず、黒の基準が少しずつずれて、背景が灰色になるのかもしれない。ショットキーダイオードは順方向電圧が低いので、この影響が小さいはずだ。

そこで Amazon で 1N5819(ショットキー)を注文した。1N4148・1N4007・1N5399・1N5408・FR107・FR207・1N5819・1N5822 の 8 種 100 本入りセットが 625 円だった。

ショットキーに交換すると、背景はまだ灰色に変わるが、以前よりゆっくりになった。それより大きな違いは AUTO ボタンの動きだ。AUTO を押すと同期の調整が走る。交換前は、画面がほとんど変わらなかった。交換後は、最初は画面がすごく乱れるが、調整が終わるとピタッと正常に表示される。調整が効いている感じが出た。

7. Clamp を調整して、背景が黒のまま変わらなくなった

調整が効くようになったので、何か設定を変えれば直るのではないかと考え、Clamp sp と Clamp st の設定を変えた。初期値は 95 前後で、その設定では背景が灰色になっていた。これを 60〜65 付近まで下げると、背景の色が黒のまま変わらなくなった。最終的に落ち着いたのは、st 55 / sp 60 だ。

最終的な Geometry Menu の値は次のとおり(2026-10-25 時点・冒頭の写真)。

項目 値 備考
H Position 58 横位置を合わせるため、57 から変更
V Position 29
H Size 44
V Size 00
Clamp st 55 初期値は 95 前後で、その設定では背景が灰色になった
Clamp sp 60 同上

メニューの「Default」を選ぶと、位置やサイズも初期値に戻ると思われる。触る前に、値を控えておくと安心だ。

分かったことと、分かっていないこと

  • PC-98 を液晶に直接つないだときは灰色にならず、GBS-8200 を通したときだけ起きた。GBS-8200 の OSD メニューの背景は変わらなかったので、出力側ではなく入力側の問題と見られる。
  • ペルチェ素子のファンで冷やしても変わらなかった。熱は主な原因ではなさそうだ。
  • 灰色になる現象は、ダイオードの交換だけでは消えず、Clamp の調整だけでも消えなかった。古いダイオードのまま Clamp を変えても、背景は灰色に変わっていった。ショットキーへの交換と Clamp の調整の両方がそろって初めて、黒のまま変わらなくなった。
  • 基板内部の S ピン〜GND 間の抵抗値は未測定。
  • 最終構成の抵抗値と、コンデンサの容量は未記録。
  • 長時間使用での安定性は未確認。約 30 分つけても、揺れも背景の変化もなかった。

次は PC-8001(無印)を GBS-8200 で映す予定だ。GBS-8200 は仕様上 15kHz にも対応しており、PC-8001 は同期が分離しているため、同じ同期混合回路が使える見込み。ただし、デジタル RGB なので変換ケーブルが別物になり、5V の TTL レベルの信号を基板の調整ツマミで合わせる必要がありそうだ。

参考